むつ

｜　<<前へ　　｜　　目次　　｜　　次へ>>　｜ 　 ある日。 仕事終わり。会社から一歩出たら、弾幕のような雨粒がアスファルトに打ちつける。鞄の底から取り出した折り畳み傘は開いたそばからコウモリ傘になって使い物にならない。滅多に使わないパー...

｜　<<前へ　　｜　　目次　　｜　　次へ>>　｜ 　 ある日。 仕事前、セブンイレブンで昼ごはんのおにぎりを二つ買う。シャケとシーチキン。面白味は欠けるけれど、これが一番うまい。異論は認める。いつもこの時間帯は決まって、メガネのズレた白髪の...

｜　<<前へ　　｜　　目次　　｜　　次へ>>　｜ 　 ある日。 仕事帰り、封切ったロン・サカパをおもむろに手に取り、テレビ前に急行、YouTubeを映し出す。もえ、しゃんどーん、どん。他人の恋を語らう、水曜21時のとある晩酌配信を見ながら晩...

｜　<<前へ　　｜　　目次　　｜　　次へ>>　｜ 　 ある日。 無性に甘いものが欲しくなって、近所のファミマに行く。お菓子の商品棚を通りかかった時、妙に「チョコボール」が浮き出て見えた。立ち止まっていると次第に、エンゼルを集めていた日を思い...

｜　<<前へ　　｜　　目次　　｜　　次へ>>　｜ 　 ある日。 大曽根駅駅前のケーキ屋さんに、卵の殻に入ったプリンがあると云う。買いたい。週末に三姫、木乃香、紫帆と集まるのだが、手土産にはもってこいの可愛らしさ。プリンは日持ちしないので、会...

｜　<<前へ　　｜　　目次　　｜　　次へ>>　｜ 　 ある日。 日の出頃、取り憑かれたように部屋の掃除をする。机に積み上がる本をどかすと、「2020.02.15 日記」と書かれたボロボロのメモ用紙があった。感情が色褪せぬうちに書いておく。 ...

｜　<<前へ　　｜　　目次　　｜　　次へ>>　｜ 　 ある日。 大津通りのApple Storeに向かう途中、モデルのような背の高い女性とすれ違う。都会には美人が多いと云う根も歯もない話があるが、どうやら噂は本当らしい。格好はシンプルな黒の...

｜　<<前へ　　｜　　目次　　｜　　次へ>>　｜ 　 ある日。 日暮れ。焼き魚の匂い。５時のチャイム。私は「４月１日」が、なんだか好きになれない。毎年毎年「#ハッシュタグエイプリルフール」に、少しイヤな気持ち。「やらせだ！」と、鬼の首でも取...

｜　<<前へ　　｜　　目次　　｜　　次へ>>　｜ 　 ある日。 午後１時、紫帆を車で迎えにいく。家うちへ来て、夕飯の豚しゃぶを食べ、お互いの近況を話す。彼女は自分の話にひと段落つくと、私の話はそこそこにアニメ『進撃の巨人』をつける。「『進撃...

｜　<<前へ　　｜　　目次　　｜　　次へ>>　｜ 　 ある日。 少し二度寝をした朝。目をこすり、歯を磨き、コップひたひたの水を流し込む。「行きたくないなあ」などとつぶやいてみても、会社は遠のかない。あれこれ考えているうちに６時５分。５分の遅...